開発録
開発のきっかけは、ガジェット愛好家の友人(みつゑ )との雑談の中で出たアイデアでした。
当時DELLが磁気浮上式スイッチを採用したラップトップをリリースしていたことから、この接点をホール素子にできれば無接点スイッチも自作できるのではないか
というアイデアが盛り上がりました。そこで市販のホール素子とマグネットを使い、早速プロトタイプ(図1)を作成しました。
図1 第1プロトタイプ
当初のプロトタイプでは、バネ代わりの磁石と押下センシングようの磁石がそれぞれ別物になっており、とても実用レベルのサイズに収まるものではありませんでした。
これはバネ代わりの磁石付近にホール素子を配置すると、磁力が強すぎて変化の少ない押下状況を認識できなかったためです。
当時すでに製品化されていた磁気浮上式スイッチも接点は一般的なスイッチと同様のものをしようしていたり、無接点スイッチは静電容量式や赤外線測距センサ式が一般的で、
磁気浮上式でなおかつホール素子を用いた無接点の小型のスイッチは(恐らく)ありませんでした。
図2 第2プロトタイプ
そこでバネ代わりの磁石の間にホール素子を配置し、磁力の打ち消し具合をセンシングすれば、たとえ大きな磁力をもった磁石を使用していても小型のホール素子でセンシングできるのではないかと
考え、次のプロトタイプ(図2)を作成しました。
手法自体はうまく動きましたが、このプロトタイプは W18 x D18 x H15mmと市販のキーボード向けスイッチよりも一回り大きく、当時持っていた機械ではこれ以上の小型化は不可能でした。
そこで、ここまで使用していた3Dプリンタ(熱溶解積層タイプ)よりも更に高精細な造形が可能な光造形(LCD)タイプの3Dプリンタを購入し、さらなる小型化を試みました。
図3 Maglev Switch MX
そして完成したのがMaglev Swith MXです。Cherry MXスイッチと同じ寸法・キーストロークで、ピン配置にも後方互換性をもたせました。
その後アクチュエーションポイントをボリュームで変更できるMaglev Switch MXようのサンプルテンキーと併せてGitHub上で公開しました。
図4 サンプルテンキー